笑う門には福来たるなどと申しますが、にやけ顔はどうなんでしょうね。それはそれで困ったことと言いますか、不謹慎な感じがあって、ちょっと問題ありそうです。お葬式のような典型的な場面はもちろんのこと、普段でも真面目に仕事をしなければいけない時間帯で、ニヤニヤしていると、周囲に迷惑をかけるわけで……。ちなみに、にやけ顔というのは、僕のことなのですけれど。
ともあれ。
仏頂さんという方がおられました。名前の通り、生まれてこのかた笑ったことがない。ずーっと仏頂面という方でございます。困った奥さんが、何とか笑わせようと、笑いだけの粉を煎じた薬を仏頂さんに飲ませたところ、はじめくすくす、次第にゲラゲラ笑い出します。
煎じ薬の量が多かったのか、それともこれでたがが外れたのか、仏頂さんは、以前とはうってかわって、始終笑い続けるようになりました。
それ以来、仏頂さんのところには、どんどんお金が集まるようになり、ますます仏頂さんとしては、笑いが止まらず、さらにお金が集まるという好循環になります。
ところが困ったのは、天界の星々。仏頂さんが笑い続けているものですから、自分たちのお金まで仏頂さんのところに行ってしまいます。そこで皆で相談して、またお金が戻ってくるよう、こちらも仏頂さんに負けないくらい笑おうと、キラキラと笑い出しました。
そんな星々の笑いにつられて、仏頂さんの家からお金が出ていこうとするのを見て、仏頂さんは笑いながら、
「よせよせ、あれは空笑いだ」