著者 | ローリー・ムーア | ||||
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タイトル | セルフ・ヘルプ | ||||
出版社 | 白水社 | 出版年 | 1994年 | 価格 | 980 |
評価 | ★★ |
いわゆる今風の女性をモデルにした短編集です。それもどちらかというと、もがいている自分が可愛いといったタイプの女性が、主人公になっているので、多分、20代後半から30代の女性なら、共感できる部分が多いのではないかと思います。
ただ、あいにくなことに僕は男性なので、よくわからないことの方が多かったわけで、やっぱり女性って難しいっすね、という感想しか残りませんでした。
ともあれ、先日読んだ『ブリジット・ジョーンズの日記』と、この『セルフ・ヘルプ』は、表現形式や舞台がイギリスとアメリカという点こそ違うものの、テーマ的には若さだけを謳歌していた時代を終えた独身女性の心の安定を求めての悪戦苦闘ぶりを描いており、フェミニズムが大衆化した以後の女性文学の一つのあり方として、非常に興味深い内容となっています。単純に楽しみたいなら『ブリジット』を、深く静かに考えたいなら『セルフ・ヘルプ』をお勧めします。
個人的には、以前、仕事で知り合った女性が書いているという小説のテーマに近いのではないかというのが、最初の読後感でした。ただ、どうなのでしょう。このことは、彼女の時代が到来したと祝福すべきことなのでしょうか。それとも、すでに先行者がいると言うことで、彼女は先駆者の地位からフォロワーになってしまったと悲しむべきことなのでしょうか。いずれにせよ、着想を得たら、さっさと作品に仕上げてしまうことが大切なのでしょう。自戒の念も込めて。