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著者 | J-P.トゥーサン | ||||
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タイトル | ムッシュー | ||||
出版社 | 集英社 | 出版年 | 1995年 | 価格 | 340 |
評価 | ★★★★★ |
前作『浴室』では、少々電波が入っている主人公でしたが、本作の『ムッシュー』では、素敵な紳士が主人公になっています。これも29歳になられたからでしょうか。
ともあれ。
本書の主人公は、「いろんな人が、いるものです」「万事は場合によりけりだ」と達観し、世間に対して常に一定の距離をおいています。それでいて、「何についてであれ、押しは弱いが諦めない」人物で、その結果、「人生は、ムッシューにとって、お茶の子さいさい」ということになります。
こういう周囲に対して優しく接し、それでいてどこかで突き放してしまう主人公に僕は魅力を感じてしまいます。また、ヴォネガットやベイカーにも通じる、ある種力を抜いたトゥーサンの文体も魅力的です。ぐいぐいと剛速球で勝負するタイプも捨てがたいですが、スローカーブをへろっと投げて、にやっと笑うタイプもいいものです。
と言うわけで、今、僕はトゥーサンに少しはまっています。
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