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著者 | 陳舜臣 | ||||
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タイトル | 曹操残夢 魏の曹一族 |
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出版社 | 中央公論社 | 出版年 | 2005年 | 価格 | 1700 |
評価 | ★★ |
陳舜臣版「三国志」ようやく完結です。
今でこそ曹操を中心に三国志の世界を描くことは、それほど珍しいことではありませんが、第1巻が出た当時としては新鮮な感じでした。その続編の本巻では、曹操の子供達のその後が描かれています。
この時期になると、「三国志」と言っても実際には圧倒的に強くなった魏に対して、山奥で引きこもりっぽくなっている劉備君、思うがままにならないことが多くて八つ当たり気味の孫権君と、一強二弱状況で今ひとつ盛り上がりに欠けるのも事実です。また、魏にしても、司馬君に乗っ取られるまでの経過となるわけで、やっぱり盛り上がってこないわけです。
そんな歴史経過的には盛り下がっていくだけの時代を虚実織り交ぜながら丁寧に描いているのは、さすがだと思います。
ただ、何となく行きつ戻りつな感じがして、若干わかりにくい気がしました。また、曹家一族を中心に描いているのだから仕方のないことだとは思いますが、五丈原の戦いなどもあっさりと終了してしまっているので、何となく物足りない感じがします。
そのため、三国志ファンなら誰にでも勧められるとは言えません。陳舜臣の歴史観が好きな人にはもちろんお勧めできるのですけれど……。
参考:陳舜臣 『曹操(上下)』(中央公論社 2001年)
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