03.03 : 友より連絡あり。楽しからずや
03.04 : レストランで独り相撲をする
03.05 : 一人暮らしは楽し
03.08 : ハッピーバースデー to 隣の人
03.09 : ゴミの日
03.11 : 創業記念
03.14 : ホワイトデー
03.20 : 早く起きた休日
03.27 : 座る人々
03.28 : 吉田さん
先日、右翼な人々は、『キャンディキャンディ』に何を託しているのだろうと書いたところ、一通のメールが届きました。
「キャンディキャンディは僕もライトだと思います。あれは労農大衆の歴史的意義を抹殺し階級闘争を小市民的プチブル間の感情の対立に矮小化している極めて右翼反動的なトロッキィストの宣伝です。反面演歌はレフトじゃないのって気もします。とにかく,ジャパニメの持つ無思想性の印象にだまされてはいけないと思うわけです。政治教育は子供からというでありませんか。子供こそ新しいカンボジアの前衛なのです。宇宙戦艦ヤマト?あれは誤解されていますが,ライトではなく,力は正義なりというテーマ,またクルー間には上下関係がなく艦長(指導者)だけが突出して偉いという点で,国家社会主義的作品なのであります。」
すばらしい! 分析力といい、表現力といい、完璧です。
大阪に戻られると言うことですが、なにかの折りに東京に出てこられたときには、是非ご一報ください。
出張で大阪と京都に行く。
最後の訪問先での打ち合わせが終わったのが7時過ぎ。たまたま、高校時代の友人がつとめていたと言うこともあって、近くのレストランで夕食を一緒にとる。
ところで、この「東京日記」をお読みの方は気付かれていると思いますけれど、僕の食事観というのは、かなり貧弱で、おいしいとか、栄養のバランスとかよりも、
とりあえずおなか一杯食べられたらそれで満足
といったところがあるのですが、加えて、
なんとなく珍しそうな食べ物に弱い
ということも付け加えなければいけません、
ともあれ、友人と一緒に入ったレストランで、かわいらしいウエイトレスが持ってきてくれたメニューを眺めていると、
ハンバーグピラフ
の文字が飛び込んできました。
ハンバーグピラフですぜ、だんな。
迷うことなく、ハンバーグピラフを注文したわけですが、一体どんな料理なのでしょう。ハンバーグの中にピラフが入っているのでしょうか。それとも、ハンバーグの細切れがピラフの中に混じっているのでしょうか。興味は深まるばかりです。
待つことしばらく。先ほどのウェイトレスが、重そうに皿をかかえてやって来ました。今や期待で胸一杯です。
が、しかし。
出てきたのは、普通のピラフの隣にハンバーグが、ちょこんと鎮座しておりました。
ちょっと、がっかり。
おいしかったんだけどねぇ〜
「一人暮らしだと、食事なんかどうするの」
喫茶店でいつものようにだべっていると、知人が真顔で尋ねてきました。
彼女は、生まれてこの方、ずーっと実家で生活していたこともあり、どうやら一人暮らしに対する誤解と偏見があるようです。
過剰なサービス精神をセールスポイントにしている(ヤナ売り物だな)僕としては、こんなおいしいネタをふられて黙っているわけにはいきません。彼女の誤解と偏見をさらに増幅させるべく、僕の実体験を元にして、一人暮らしにおける食生活の実態を虚実織り交ぜ話すことにしました。
「はっきり言って、一人暮らしにおいて、味とか栄養のバランスは二の次。とにかく手をかけずに満腹感を得られること。これがすべてです。というわけで問題。もし、炊飯器、トースター、電子レジ、この内1つだけと言われたら、何を買います?」
「うーん、電子レンジ?」
「はずれ。正解はトースターです」
「どうして?」
「電子レンジで作れる冷凍食品って、単品だけでは、おなか一杯にならないんです。それに対して、とりあえずトースターに食パン2枚を放り込めば、一食分としては十分です」
「それって、あなただけじゃないの?」
彼女は不審そうな目で僕を見つめます。最近、知人の信頼感、がた落ちです。いかん、いかん。
夜遅く、小さなレストランにて。
隣の席にイチゴのショートケーキらしきものが運ばれてきました。「イチゴのショートケーキらしきもの」と、奥歯に何かがはさまったような言い方をするのは、最近、ケーキの世界ってよく分からないことになっていまして、タルトだとか、シフォンだとか、なんかいろいろとバリエーションがあるようで、ちょっと油断すると、イチゴのショートケーキだと思っていたものが、
「そよ風のミラノ風ミックス・ストロベリー・タルト」
とかなんとかいう大変怪しいものになっていたりします。
ともあれ、隣の30代前半のサラリーマン風の男性は、運ばれてきたイチゴのショートケーキを、大変いとしそうに眺めておられました。
別に、30代前半の男性が一人でイチゴのケーキを食べるからと言って、悪いことはありません。少なくとも、ビーフストロガノフとみそ汁という、和洋の区別すらない注文をしてウェイトレスをあきれさせた僕が、とやかく言うようなことではありません。
ただし、彼が懐から色とりどりの小さなローソクを取り出したことを除けば。
隣は何をする人ぞ、とあからさまな好奇心をむき出しにした僕が見守る中、彼はケーキにローソクを立て、一つ一つ丁寧にライターで火をつけだしました。
すべてのローソクに火がともると、彼は、しばらくじっとローソクが揺れるケーキを見つめていました。
一体、なんなのでしょう。僕の知らないケーキ作法なのでしょうか。それとも新たな宗教かなにかなのでしょうか。
しばらくケーキを眺めていた彼は、得心したのか、ふっと一息で、ローソクの火を消し出しました。
そこで、ようやく僕は、どうやら今日が彼の誕生日らしいということに気がつきました。ハッピバースディ、隣の人。いくつになられたのか知りませんけど、明日からも幸いあれ。
ただ、どうなんでしょう。それほど大きくないケーキです。ローソクを10本も20本もさすのは、やりすぎなんじゃないでしょうか。大きなお世話?
東京北区王子では、火曜日が資源ゴミ、水曜日と土曜日は燃えるゴミ、木曜日が燃えないゴミの日と決まっています。以前は確か、火・木・土が燃えるゴミだったはずです。
そこで困るのは、水曜日にゴミを出すのを忘れるということです。
水曜日忘れたって、土曜日があるやんと言われるかもしれません。しかし、自慢ではありませんが、土曜日すなわち休日の午前中に僕が目覚めるということは、まずなく、気がついたときには、ゴミの収集車はとっくの昔に立ち去った後ということになります。
そんなわけで、この3週間、ゴミを出せていません。弱りました。来週こそは。
大久保駅からしばらく歩いたところに、創業60周年を誇る古いお店があります。
この店は、小さいながらも自社ビルを持っています。
ただ、よく分からないのは、そのビルの壁には、大きく
「創業70周年」
しかしまぁ、善意に解釈すれば、本当はこの店は創業70周年で、ただ、前に祝った「創業60周年」を諸般の理由で直し忘れただけなのかもしれません。
しかし、そんな僕の善意をあざ笑うかのように、店のシャッターには、
「創業75周年」
の文字が。
一体どうなっているのでしょうか。60年、70年とくれば、次は80年を祝うのが筋というものではないでしょうか。逆に、75周年を祝うのなら、なぜ65周年を祝ってやらなかったのでしょう。そもそもこの店は、なぜそんなに創業祝いをしたがるのでしょうか。
ともあれ、75周年を祝うシャッターはいつ行っても閉まったままです。75周年を祝ったところで力尽きた?
バレンタインデーといえば、チョコレート、と意見の一致を見たお菓子業界ですが、ことホワイトデーに関しては、どうもまだ歩調が合わないようです。少なくとも僕の知る限り、マシュマロ派、キャンディ派、クッキー派に分かれるようです。
それにしても実際のところどうなのでしょう。僕が生まれて初めて「ホワイトデー」というものを知ったのは、中学生の時でして、知人が颯爽と現れて、
「ホワイトデーよろしく〜」
と颯爽と立ち去るのを呆然と見送ったのが、僕とホワイトデーのファーストコンタクトでした。当時、すでにバレンタインデーというものは知っていたものの、そのお返しまでには気が回らず(そんなにモテルタイプじゃなかったので)、
「ホワイトデー? なんじゃそりゃ」
と戸惑っていました。こういう場合、さっさと知人に聞いてまわればいいのですが、当時の僕は、女性に関する相談をするのは、なんとなく格好悪いという認識があったため、
「一体、彼女はホワイトデーに何を期待しているのか、
そもそもホワイトデーって、いつだ?」
と一人で悩んだあげく、一週間後、本人に「ホワイトデーってなに?」と聞いたところ、
「この恩知らず。あんたなんかにチョコレートなんかやるんじゃなかった。
返せ、今すぐ返せ」
と罵詈雑言を受ける羽目になりました。
そんなわけで、始まりからして僕とホワイトデートの相性はよくないのですが、その後もホワイトデーに関する受難は続きます。そんな中、やはり問題となるのはホワイトデーの定番が、今一つ分からないことです。さらに、どういうわけか僕は恋愛関係が長続きしないことも問題を複雑にしており、ある年のある女性にクッキーを要求され、その教訓を受けて、次の機会にクッキーを渡すと、今度は「普通、ホワイトデーって、マシュマロじゃないの」と詰問されることになります。
以上のような苦い経験を繰り返してきた僕は、今年は予め何が欲しいかさりげなく聞いておくという高等戦術を取ることにしました。ところが返ってきた答えは
「あたしゃ、みつ豆が食べたい」
そういうのもありっすか。
日曜日。珍しく僕は、8時半に目が覚めました。すばらしい。こんなに朝早く、目が覚めるなんて、何カ月ぶりでしょう。少なくとも、今年に入ってから初めてであることは、間違いありません。しかも、驚くべきことに、今日は寝ぼけていません。意識もはっきりしています。
「自分で自分をほめてあげたい」(by 有森裕子)
という言葉をかみしめつつ、朝食を取ろうと、冷蔵庫を開けると、中には、
「マヨネーズ」
しか入っていません。これで何をどうしろと言うのか。
しかし、今日の僕は、8時半に起きた男です。これぐらいのことでは動揺しません。なにしろ時間はたっぷりあります。とりあえず着替えて、顔を洗い、近くのスーパーに買い出しに行くことにしました。
春の暖かい陽光の下、道々どこかの飼い犬をからかうなど、道草を楽しみながら、歩いて10分ほどのところにあるスーパーに向かいました。やはり早起きはいいものです。
スーパーに入ろうとした僕は、
「毎週日曜日、9時から10時までは、全品1割引」
と書かれた表示を発見しました。
東京に出てきてから2年と6ヶ月。お恥ずかしい話ですが、今日の今日まで、こんな安売りがされているとは知りませんでした。主婦の皆さんは、こういうこまめな節約をして、家計を切り盛りしているんでしょうね。早起きは三文の徳とはよく言ったものです。
ともあれ、今日からは僕も、1割引の仲間入りです。フフフ、待ってろ、食料品。1週間分とは言わず、1ヶ月分、買って、買って、買いまくるぜ。と鼻息も荒く、店内に入ると、そこでは、
群衆と化した おばちゃんの大群
いや、ほんと、想像を絶する光景でした。売り場では、買い物かごを山盛りにした家族連れが、キッとにらみを利かせて、そこのけそこのけ状態でかっ歩し、試食品コーナーでは、50ぐらいのおばちゃん達が、「あらちょっと、これは肉の質が落ちたんじゃない、ぎゃははは」と品評会を始め、あっという間に食べ尽くし、長蛇の列なんてどころの話じゃないレジでは、おばちゃん達が、1円でもごまかされるものかと、目を血走らせながら、液晶パネルとにらめっこしているわけです。
とても、あそこには入れない。
言いようのない敗北感に包まれながら、トボトボと来た道を引き返し、コンビニで牛乳とロールパンを買って帰ったわけですが、はたして僕が早朝のスーパーデビューを果たせる日はくるのでしょうか。無理?
以前から気になって仕方ないのが、朝、ホームのベンチに座っている方々のことです。
いや、まぁ、もちろん、ベンチというのは座るためにあるものですから、ホームのベンチに座っているという行為自体は、それほど不自然なものではありません。少なくとも、ベンチの上で踊り出すよりは、よっぽどまともと言えましょう。
余談ですが、僕は以前、ベンチの上で踊っている男性を見たことがあります。見たところ、30代後半サラリーマン風。何かとはしゃぎたい年頃なのでしょう。いろいろ悩みもあるでしょうから。その時の駅員の言葉がまた良かった。
「はいはい、続きは家でやってね」
踊るのか、自宅で?
ともあれ。
普通、ホームのベンチに座ると言えば、疲れたとか、立っているのがだるいとか、理由は様々でしょうが、列車を待つために座るというのが基本でしょう。ところが、朝の新橋駅のホームに座っている方々は、何本列車が来ても、いっこうに席を立とうとしないのです。
そうすると、誰かを待っているのでしょうか。子供じゃないんだから、
「○○ちゃん、一緒に会社に行こう」
というのは、個人的には、どうかと思うのですが、世の中にはいくつになっても童心を忘れられない人がいるものです。世の中にはいろんな人がいますからねぇ。なんてことを思いながら、事実を確かめるべく、先日、新橋駅で観察していたわけです(我ながら、ずいぶん暇なヤツだと思いますけど)。観察の対象は、50代後半、やや白髪で眼鏡をかけ、白っぽいトレンチコートを着ていた人物です。僕が新橋駅に着いた時には、すでにベンチに座っておられました。
彼は、缶コーヒーを飲みながら、通り過ぎていく列車を眺めていました。そのまま何時間も過ぎるのではないかと思えるほど、彼はじーっと座っていたのですが、9時を少しまわった頃、彼は突然立ち上がり、改札を出て烏森方面口でタクシーを拾い、そのまま銀座方面へと向かわれました。一体何がきっかけになったのでしょう。謎です。
もっとも、そんなことをして遅刻している僕の方が、よっぽどどうかとも思いますけれど。
家に帰ると、留守番電話にメッセージが入っていました。何の気なしに再生してみると、
「吉田さん、新しい子が入りました。ご来店お待ちしています」
間違い電話でした。恐らく、スナックかなにかの営業なのでしょう。どこの店か知りませんけど、相手先を間違えていることを除けば、なかなか仕事熱心です。感心、感心。
問題は、たまたまこの時、知人が遊びに来ていたということです。留守番電話を聞いた後、知人は冷たい視線で、
「ふーん、吉田さんねぇ。近頃、お金がないっていうのは、こういうこと」
違うっす。誤解っす。そんなところに遊びに行けるほど、お酒強くないっす。ホント、信じて。だいたい、僕が偽名を使うほど、手の込んだことするわけないっしょ。などと弁明したわけですが、知人は
「ケッ」
という状態で、取り付く島ありません。
吉田さんが悪いのか、スナックの店員がそそっかしいのか分かりませんが、とにかく電話番号を確かめてください。お願いします。