7月の生き方


日記の目次

07.05 : ボーナス
07.09 : おばちゃん
08.13 : エウレカ
07.15 : テレビ
07.18 : 嘆きのVisor
07.20 : 12000番は誰?
07.22 : 冨倉、体力の衰えを感じる
07.24 : 展覧会とか映画とか
07.25 : ふけっちゃだめ
07.26 : バタフライ
07.27 : 暗闇の恐怖
07.30 : 訪問者


ボーナス

2000.07.05

 全国のサラリーパーソンの皆様。いよいよボーナスですね。いかがお過ごしでしょうか。

 今回の冨倉のボーナス計画は、以下の通りだったりします。

PlayStation235,000円DVDも観たいし、花火のゲームもやってみたい。
CDデッキ20,000円ウォークマン・オンリーの生活から脱却したい。
背広20,000円夏用の背広が欲しい。本当は、職場がノーネクタイになればもっといいんですけど。
革靴10,000円最近、外出が多くて、そろそろ靴が壊れそうなので。
マキアベリ全集30,000円そういえば今年も、原稿依頼があったような……。気のせい? 気のせいでしょう。きっと気のせいです!

 本当は、これにデスクトップPCを加えたいところですが、さすがにそれをするとレッドカードが出されそうなので……。

 ともあれ、まずは遅ればせながらPS2を手に入れるべく、4万円を握りしめて秋葉原に行ってきました。

 今さら言うまでもなく、PlayStation2は、DVDも再生できます。DVDと言えば、『マトリックス』という説もありますが、今、僕が観たいのは

「クリスティーナ・アギレラのライブ」

だったりします。

 と言うわけで、アギレラのDVDを探しに、もとい、PS2を探して秋葉原を放浪したのですが、相変わらずないですね。3件ほどまわったところ、どの店でも完売・次回入荷未定と言われてしまい、トボトボと帰宅の途につこうとしたその時です。

 秋葉原の駅から離れたところに、知る人ぞ知る「イケショップ」というお店があります。この店は、いわゆるモバイル系グッズを豊富に取りそろえている店で、価格そのものは、他店と比べてそれほど安くないのですが、面白そうな小物をふんだんにそろえていて、結構重宝しています。この日も、PS2を入手できなかった残念感を抱えたまま、何気なく立ち寄ったところ、噂の Palm 互換機 Visor が山積みになっていました。

 お察しの通り、買ってしまいました。消費税込みで31,290円。早くも、ボーナス計画は大修正。PS2の購入は、冬になりそうです。アギレラ様のお姿を鑑賞するのは、当分先。ちなみに、Visor の使い道は、まだな〜んにも考えていません。こんなことでいいのか。


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おばちゃん

2000.07.09

 喫茶店でだべっていると、おばちゃんの集団が入ってきました。

 買い物帰りらしいおばちゃん7名は、どかどかと席に座り、さっそくがやがやとおしゃべりを始めました。

 ウェイトレスの女の子が、注文を聞きに行くと、おばちゃんたちは、口々に、

「トマトジュース」
「シュークリーム」
「大福」
「麦茶、氷抜きで」

と叫び始めました。

 が、しかし。

 おばちゃんたちが注文したものは、見事なまでにどれ一つとして、店にはないものばかりでした。

 かわいらしいウェイトレスが、申し訳なさそうに、「そうしたものは、うちにはないんですが」と言うと、おばちゃんたちは、

「えー、ないのー」

と口をそろえて合唱しました。

 しばらくゴソゴソと相談していたおばちゃんたちは、今度はリーダー格が代表して、

「それじゃ、ワインのボトル」

と言いました。

 思わず僕は、おいおい店を間違えてるぞと思いつつ、事態の進展を見守っていました。と言うのも、注文を聞きに行ったウェイトレスは、かわいらしい女性で、ひそかに僕のお気に入りだったりするからです。

 案の定、喫茶店にワインなどあろうはずもなく、ウェイトレスはすごく悲しそうな顔をして「それもないんですけど」と言いました。

 そこでようやくメニューを見るというファーストステップに取りかかり出すおばちゃん一行。と言うか、最初から気づけって。


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エウレカ

2000.07.13

 今日、僕は分かってしまいました。
 なにをかというと、

なぜ、僕が道に迷ってしまうのか

ということです。

 これまで、なぜ僕はあんなにもしょっちゅう道に迷うのか、自分自身のことながら、すごく謎でした。確かに、僕は方向音痴です。帰巣本能もそんなにないかもしれません。それは認めましょう。しかし、自慢じゃないですが、僕はアナログ時計さえあれば、太陽の位置から方向を判断することができます。それに、一般に思われているほど時間にルーズなわけでも、無責任なわけでもなく、時間通りに目的地に到着しなければならないという使命感は、それなりに持っています。

 それにもかかわらず、3回に2回は道に迷ってしまう現実。一体、これはどうしたことでしょうか。

 その謎が今日ついに解けたのです。

 今日、僕は、外出先からの戻りに地下鉄の南北線を利用して、溜池山王で銀座線に乗り換えるというコースを選択しました。

 東京に住んでおられない方のために説明すると、南北線は東京でも深いところを走っているため、たいていの駅で乗り換える場合、一度、階段を上らなければいけません。そして、東京の駅は、地下鉄であってさえ、かなり長く、ホームの途中にいくつもの階段が設置されています。僕の記憶が確かなら、溜池山王駅の南北線ホームの一番端の階段が銀座線への乗り換え口となっています。

 市ヶ谷での仕事を終え、予定通り南北線に乗り込んだ僕は、先方との打ち合わせの内容を確認し、残された課題をリストアップしていました。溜池山王は終点駅なので、少々考え事に没頭していても乗り過ごす心配はありません。そんなわけで、僕は余裕をかましながら、これからしなければいけない手順を考え、どこに何を連絡し、僕自身は何をしなければいけないのか、買ったばかりの Visor に記入していました。すばらしい。サラリーマンの鑑といえましょう(普通、これぐらいのことは誰でもやってるって)。

 駅に着き、僕は次の仕事の問題点を考えながらホームを歩いていました。

 気がつくと、どういうわけか、僕は地上に出ていました。あれ?

 しかし、どんなときにも冷静沈着を売り物にしている(大嘘)僕としては、なぜ自分が溜池山王の地上にいるのか、落ち着いて考えました。その結果、

僕は手近な階段を上る(もしくは下りる)傾向がある

という事実を発見しました。

 さらに、僕は、なぜ自分がこんなにも道に迷うのかという長年の疑問について、思考を進めた結果、

僕は一番手近な曲がり角を曲がってしまう癖がある

という結論に達しました。

そうだったのか!

 大発見です。

 すっかり有頂天になった僕は、基本的に幼稚園児並みの精神レベルということもあって、自分の大発見について、さっそく知人に報告しました。

「もしもし。分かっちゃったんです。僕って、すぐに道を曲がりたがる癖があるでしょ。あれが道に迷う最大の原因だったんすよ」

 僕の報告を聞き終えた知人は、

「で、明日から道に迷わなくなったわけ?」

 その約束は、まだちょっとできないかも……。


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テレビ

2000.07.15

 どうも、フェレッタ冨倉です。皆様、お元気でしょうか。

 さて、先日の日記で書きましたように、着ぐるみ姿でテレビに出ました。いやぁ、やっぱ、テレビって恐いっすね。あれを見る限り、まるっきり無邪気に子供とたわむれているといった感じでした。

 しかし、あのほほえましい映像の裏側では、冨倉と子供達との死闘が繰り広げられていたことを、僕は皆様にご報告しなければなりません。

 幼稚園児並みの精神年齢(知人説)の僕は、右手をぶん回して群がる子供を振り払い、左手のピコピコハンマーで小生意気な子供に正義の鉄槌を振り下ろしていたわけです。

 ただ、残念なことに、フェレッタ君の両手は予想以上に短く、僕の精一杯の反撃は、むなしく空を切っておりました。それに対して、子供の攻撃の的確なことと言ったらありません。完敗です。無念。

 しかしまぁ、終わったことはいいんです。人間、前向きに生きていかなければいけません。いつまでも過去にこだわってちゃいかんのです。そう自分に言い聞かせて、更正の道を歩みだそうとしたその時。

「じゃ、今度の収録は23日だから」

マジですか?(インド人風)


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嘆きのVisor

2000.07.18

 携帯電話を購入した当初にもくろんでいた「列車の中での暇つぶし」は、車内での携帯電話禁止令によって、あえなくついえたと言うこともあって、しばらく前からPDAが欲しいなと思っていました。

 と言うわけで、先日の日記でも書いたようにHandspring社のVisorを購入しました。

 Visorは現在一部で大人気のPalm系のPDAの1つで、これ1つでスケジュール管理から住所録、メモまでこなせます。さらに足りない機能についても、豊富なオンラインソフトを追加すれば、かなりいろんなことができます。同種のザウルスやWindowsCEと比べて動作がきびきびしている点も好感もてます。

 僕がVisorを選んだ理由は、追加カートリッジで色々遊べそうというのも捨てがたいのですが、なによりUSBでPCと接続できるのが最大の魅力だったりします。実際、現在僕がメインで使っているLibretto1100にはシリアルポートがないでので、USB接続は大変重要です。

 ところが。

同期できない!

 簡単なはずのHotsyncがどういうわけかうまくいきません。サポートセンタに問い合わせたものの、返ってきた答えは「一部のPCだと不具合あるかも」とのこと。インターネットで色々調べた結果、どうやらLibretto側に問題がありそうです。しかし、原因はわかったものの、依然として解決のめどは立っていません。思わず、

意味な〜いじゃん

とつぶやいてしまいましたが、ともあれ、現在、僕のVisorは完全にメモ帳と化しています。

メモ帳に3万円!

 そう考えると、思わず目の前が真っ暗になってしまいますが、どうせ無駄な買い物なら、とことん無駄に使っちゃおう! まずは、Visorゲームボーイ化計画だ!(おいおい)


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12000番は誰?

2000.07.20

 先日、こんなメールを頂きました。

「左の数字」の件
アクセスしたら「11999」だったので是が非でも
「12000」をゲットしょうと思って再度アクセスしたら
「12001」だった。
誰だ!・・・私の小さな、ささやかな、夢と希望を横取りしたやつは!

 ちゃんと、カウンターの数値を気にしてくれている人がいたんですね。嬉しいです。それにしても、残念でしたねぇ。「11999」と「12001」。ホント、考えれば考えるほど、おしいです。

 と言うわけで、12000番目の訪問者の方、もしこれをお読みであれば、ご連絡ください。

 あと、上記のメールをくださった方、頂いたメールに返信したところ、どうもうまく届かなかったようです。もしよければ、もう一度、メールをください。


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冨倉、体力の衰えを感じる

2000.07.22

 東京は、7月だというのに、うだるような暑さが続いています。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 さて、僕は寒がりのくせに、暑ければ暑いで、「暑いよ〜、うだるよ〜」と、たださえ短気で集中力が続かないのが輪をかけて悪化するという、手に負えない人間だったりします。しかも、どうも最近、僕の部屋のエアコンの調子がよろしくないわけで(なんか、去年の今頃も似たようなことを言っていたような気がしますけれど)、はたして僕はこの夏を乗り越えることができるのでしょうか。大変不安です。

 ともあれ、その日も、うだうだと「暑いよ〜」と繰り返していると、知人が「だったら、プールにでも行けば。運動不足も解消できるっしょ」とこともなげに言いました。

 そうか、その手があったか。別に隠すようなことでもありませんが、僕は元競泳選手だった過去があったります。泳ぎは、僕が人並み程度にできる数少ない分野です。

 思い立ったが吉日、速攻で行動に移すのが僕の取りえです(もっとも、最近は、もうちょっと安全を確認してから行動した方がいいんじゃいないかという気がしないでもないですけど)。早速、赤羽のプールで入会の手続きをしてきました。

 一緒に行きますか? と知人に尋ねると、「あたしゃ、泳げんから……」と言いました。僕が教えるっすよ。今なら、手取り足取りの懇切丁寧な指導が、たったのVisor用拡張モジュール1個(1万円)でどうだ、と提案すると、

「教える振りして沈める気だろっていうか、メモ帳にこれ以上金をかける気?」

との返答。信用がた落ち。あと、Visorはメモ帳として、立派に活躍されておられます。責めないで。

 というわけで、泳ぎに行ってきました。

 先ほどは、元競泳選手なんて言ってましたけど、大学以来、スポーツらしいスポーツってやってないので、実は密かに不安だったのですが、いやぁ、結構、体って覚えているものですね。さすがに、バタフライは無理でしたが(一般のプールでバタフライは大変迷惑なので、最初から試してもいないのですけど)、それ以外は、スピードを除けば、それなりに泳げました。

 まだまだ若い者には負けないぜ、まずは1キロに挑戦だってな具合で、バチャバチャとやっていたわけですが、500メートルを過ぎた辺りから、クロールの息継ぎが3回に1回のペースを守れなくなり、800の頃には腕が重くて肩が回らなくなるといったありさまでした。

やべー、体力落ちてるよ。

 実際、1キロと言っても、ぶっ通しで泳いでいたわけではなく、前の人に追いつかないように時間稼ぎをしたり、隣でパチャパチャしている知人の相手をしたりと、結構休み休みだったにもかかわらず、ヘロヘロになっていました。

 翌日。案の定、筋肉痛に苦しめられています。体をちょっと動かすだけで、筋肉が悲鳴を上げているのがよ〜くわかります。一応、ポーカーフェイスを決め込んで仕事をするものの、本当に表情に出ていなかったか、はっきり言って自信ありません。

今後は、もうちょっと体を動かすことにしよう。


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展覧会とか映画とか

2000.07.24

7月某日
 知人から「ホッパー展のチケットが手に入ったから、ついてこい」と連絡が入りました。行くっす。

 それにしても、ピカソ展といい、ナンジャタウンといい、どこからそういう楽しげなものを入手してくるのかと聞くと、「懸賞で当たったよん」とのこと。

うらやましすぎ!

 実は僕は子供のことから、くじ運はからっきりでして、当たりが出たらもう1本のアイスキャンデーからはじまり、年賀状に至るまで、ものの見事に当たりません。ましてや、雑誌の懸賞なんか「どうせ僕は当たらんもんね〜」と最初から不戦敗だったりします。

 ともあれ、ホッパー展ですが、よかったです。

 僕は、絵画の知識はからっきしなので、油彩があんなに圧倒的な質感を出せるものだとは思ってもいませんでした。特に「壇上の女」は、どうやって黒一色であれだけの表現ができるのか、正直感心以外のなにものでもありません。

7月某日
 久しぶりに映画を観に行ってきました。まずは、五賢帝時代が終わり、迷走を始める古代ローマを舞台にした『グラディエーター』。

 大衆心理を敏感に察知し、娯楽を与えることこそが市民の人気を得ることをわきまえていたにもかかわらず、最終的には暗殺された実在の皇帝がモデルと言うこともあって、大変楽しみにしていたのですが、正直に言って、期待はずれ。まず展開があまりにもオーソドックス。映像も実写とCG合成という最近の流行こそ押さえているものの、あまりにもちゃち。合成部分がはっきりと見えてしまうのが、あまりにも悲しすぎます。さらに悪いことに、一体何を見せたかったのか要領を得ないわけで、早くも僕の中では、今年度ワーストでした。実際、オープニングのローマ軍対ゲルマン人の戦いで燃え尽きてしまったんじゃないかとしか思えません。残念。

 続けてみたのが、『Closer the You Get』。

 こちらは、アイルランドの片田舎を舞台に、性の情熱に猛り狂う青年達が、あこがれのアメリカ娘をゲットするため、恋人募集の新聞広告をうったことから始まるドタバタ喜劇。当然、展開としては、男共の馬鹿さ加減に対して村の女達も反撃を開始して……ということになるわけです。

 こまごまとしたくすぐりとか、下品な話をセンス良く見せる演出は、さすがイギリス映画です。ダンスパーティ以降は、ややだれるものの、ケイト役のニーアム・キューザックが大変美人で、彼女が微笑むのを見るだけで、幸せな気分になります。

 なお、恋人と一緒に観に行った場合、「男ってやーね」と言われかねないので、その点はご注意を。


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ふけっちゃだめ

2000.07.25

 先日、古典落語ネタ帳を読んでくださっている方から、『淀五郎』の記事中に「紀の国屋沢村宗十郎が病にふけっていたから」とあるのは、「病の床に臥せる」ではないかとのメールを頂きました。

おっしゃるとおりでございます。

 いやー、病にふけっちゃダメっすよね。ご指摘の通り、「臥せる」が正しいです。1字違いで大違いですね。

 というわけで、早速修正しておきました。ご指摘ありがとうございました。

ふける:(度を過ごして)熱中する。
ふせる:多くは病気で寝込むことを指す。
(岩波国語辞典より)


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バタフライ

2000.07.26

 やはり名古屋の人は、バタフライのことを「ばたふりゃー」と言うのでしょうか。

 などと、相変わらず間抜けな書き出しから始まっていますが、暑いですね。皆様、体だけは気をつけてください。

 さて、先日来、週末ともなると、いそいそと新たな避暑地でもあるプールに出かけているわけですが(それにしても、うちのエアコンの調子はどうにかならないものでしょうか)、やっぱりいいですね、プール。

 バシャバシャと泳ぐのも楽しいですし、のんびりと水に浮かんでボーっとしているだけでも楽しいです。これで、僕が目がよければ、水着姿のお姉さま方という別の楽しみもあるのでしょうけれど、あいにく僕は非常に目が悪く、眼鏡なしでは、

「おばちゃんなんだか、お姉さんなんだか区別がつかない」

といったありさまだったりします。これだけは大変残念です。

 ともあれ。

 今日もプールに行って来たわけですが、今日はいつもとどうも様子が違います。やたらと波が高く、ばちゃん、ばちゃんと物音はするわで、なんだなんだと目を凝らしてみると、真ん中のコースでバタフライを泳いでいる人がいました。

一般プールでバタフライを泳いでるんじゃないぞ!

と思っていると、彼女もそんな周囲の雰囲気を察したのか、しばらくして自由形に切り替えました。

 ところが。

 それにもかかわらず、波は依然として高く、やっぱりバチャン、バチャンと大きな音がします。おっかしいなぁ。また、どこぞの見栄っ張りがバタフライを泳いでいるのだろうかと、よーく目を凝らしてみてみると、プールの端のコースで、

水中エアロビクス

に興じておられる集団がありました。しかも、これがまたやたらと巨漢揃い。さっきの、バタフライの方、あなたは無実でした。疑ってごめんなさい。


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暗闇の恐怖

2000.07.27

 僕の目が悪くなったのは、小学校の高学年からですから、かれこれ20年近く目が悪い生活を送っています。とは言うものの、普段の日常生活において、それほど不自由に感じることもなく、のんびりと暮らしているのですが、困るのは夜、寝るときです。

 先日、あまりの暑さに目が覚めた僕は、びっしょりと汗をかいていることに驚きつつ、こりゃ水分を補給すべきであろうとぼんやりする頭の中で判断して、ゴソゴソとベッドの中から出ました。

 当然、寝ているときに眼鏡をかけているはずもなく、近いとはいえ、真っ暗闇の中、冷蔵庫までの道のりは危険が一杯です。灯りをつければいいような気がしないでもないですが、寝ぼけているので、そこまで考えがまわらない&電灯のスイッチは冷蔵庫の隣ということもあり、暗闇の中、僕は決死の行軍を続けました。

 幸運にも、その夜は途中で尖ったものを踏みつけて飛び回ったり、なにか堅いところにぶつかってうめくこともなく、無事に冷蔵庫にたどり着いた僕は、冷蔵庫を開け、ウーロン茶のペットボトルを取り出し、グビグビと飲み始めました。

 ところが。

うぎゃー。

 味が違うとか、腐っているとか、そういう問題ではなく、もう根本的に何かが違う。僕は台所の流しに走り、思いっきり水道の蛇口をひねって、口の中をすすぎました。

 ようやく落ち着きを取り戻し、灯りをつけた僕は、自分が手に持っているものを見て愕然としました。

キッコーマン醤油!

 今度からは、ボトルに入ったものじゃなく、面倒くさくても小瓶を買うことにします。


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訪問者

2000.07.30

 休日の朝、ごめんなさい、嘘つきました。

 休日の昼、目が覚めると、

「お早うございます」

というやたらと甲高い声が聞こえてきました。

 元々、血圧が低めで、お世辞にも寝起きがいいとはいえない僕は、この突然の「お早うございます」にパニックに陥ってしまいました。なんだ、なんだ。

 夕べは、特にお酒も飲まなかったので、酔っぱらって訳わかんなくなって、他人の家に転がり込むようなこともなかったですし、誰かを自宅に招き入れるなんてこともなかったはずです。知人が来るという連絡もありませんでした。本当に、誰だこの人は。

 さらに僕は目が悪く、眼鏡をかけていないと、ぼんやりとしか見えません。頭はぼけてる。視界もぼけてる。まさにボケボケ状態のまま、声の主を見ると、彼女は、

「わたくし、なんとかかんとかの、なんとかかんとかから来ました、なんとかというものです」

 彼女は僕が聞いたことない単語を並べ、自己紹介をしました。しかし、自己紹介されても、こちらとしては、依然として彼女が何者なのか、なぜ僕の部屋にいるのか、さっぱり分かりません。とは言うものの、一応、来客ということで、僕はゴソゴソと起き出し、ベッドの上で正座して彼女の話を聞いていました。この辺の無意味な礼儀正しさというのは、自分でもどうかと思うのですが、それはともかくとして。

「見たところ、ポスターなんかも貼られていないようで、大変殺風景な部屋ですが、本日お持ちした、なんとかかんとかが描いた、なんとかという絵を飾れば、明日から、あなた様の生活は見違えるように充実したものになるはずです。いかがでしょう。この絵を飾ってみませんか?」

 殺風景で悪かったっすね、大きなお世話です。僕は、自分の持ち物にペタペタとシールを貼るという悪癖はいまだに直らないのですが、昔から、ポスターを貼るという習慣はありません。むっとする僕にお構いなく、彼女はセールストークを続けます。

「本来なら、100万円のこの絵が、今日はサービスして、60万でご提供できます。いかがでしょうか」

 いかがも何も、そんなお金ない、と僕が言うと、彼女は、分割も可能と言います。分割だろうがなんだろうが、絵を買う趣味はありません。と元々短気なのに加え寝起きの不機嫌さもあって、かなりつっけんどんに「いらない、買わない、必要ない」を繰り返していると、彼女は、文化的な生活がどうの、精神的な余裕がどうのとぶつぶつ言いながら、帰っていきました。

 彼女が去った後、頭もようやく起き出し、しだいに腹が立ってきて、この怒りを解消すべく、知人に報告しました。僕の話を聞き終えた彼女は、一言、

「寝るときは、鍵をかけとけ」

 そりゃそうね。


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とみくら まさや(vzx01036@nifty.ne.jp) $ Date: 2000/07/05 $