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8月の生き方


日記の目次

08.03 : 喫茶店にて
08.17 : クーラー
08.25 : 薬屋さんにて
08.28 : ソープ
08.31 : 偏食


喫茶店にて

2002.08.03

 おじいさんとお孫さんでしょうか。喫茶店に二人連れのお客さんが入ってきました。

 女の子の方は3歳くらい。おじいさんは、女の子が可愛くてたまらないといった感じです。実際、女の子は愛想も良く、お団子にゆわえた髪も似合っています。オーダーを取りに来たウェイトレスさんにもニコニコと話しかけているところなんか、おじいさんが目に入れても痛くないと思う気持ちも分かります。

 さて。

 おじいさんはアイスコーヒー、お嬢ちゃんはオレンジジュースを注文しました。

 ジュースが届くまでの間もお嬢ちゃんは、じっとしていることができないようで、物珍しそうに喫茶店の中をきょろきょろ見回し、気が付いたことがあると「あれ、なに?」とおじいさんにたずねます。おじいさんはそのたびに丁寧に答えてあげ、お嬢ちゃんは納得したときは次の質問に移り、納得できないときは小首をかしげながら、でもやっぱり次の質問をおじいさんに投げかけます。

 しばらくして、注文していたアイスコーヒーとオレンジジュースがやって来ました。おじいさんは、どうやらブラック派のようです。しかし昭和一桁。出されたものを残すのは気が引けたのでしょう。おじいさんは、お嬢ちゃんのオレンジジュースにミルクを入れてあげました。お嬢ちゃんはニコニコしながらそれを見守っています。

 そこまではいいです。

 しかし、続いておじいさんがシロップをオレンジジュースに注いだとき、思わず声を上げそうになりました。それはちょっといかがなものでしょうか。でも、お嬢ちゃんはやっぱりニコニコしてそれを見ています。赤の他人が口を出す問題じゃない。そう思って僕は、少々ハラハラしながらも事態の成り行きを見守ることにしました。

 どうやら、おじいさんとお嬢ちゃんは、これから町内のお祭りに行くようです。暑いからね、ちゃんと飲んでおかないとダメだよと、おじいさんは優しく、しかし断固とした口調でお嬢ちゃんに言いました。それに対してお嬢ちゃんは、「綿菓子買ってくれる?」と答えました。「金魚すくいやろうね」とおじいさんは話をそらしました。

 これから行く夜店めぐりの駆け引きをしつつ、お嬢ちゃんは、オレンジジュースに口をつけました。

 その瞬間、それまであんなにニコニコしていたお嬢ちゃんの顔が曇りました。

 二口目を口にした後、お嬢ちゃんの唇はストローから離れました。結論から言えば、二度とお嬢ちゃんがストローに口をつけることはありませんでした。

 そんなお嬢ちゃんに、おじいさんはやはり優しく、しかし断固とした口調で、「ちゃんと飲んでおかないとダメだよ」と言いました。でも、やはりそれは無理な注文というものです。お嬢ちゃんは、オレンジジュースを飲もうとしません。困ったおじいさんは、オレンジジュースを譲り受け、「ちゃんと飲まないと……」と言いつつ、オレンジジュースを口に運びました。

 僕の座っている席から、おじいさんの表情を窺うことはできなかったので、その時のおじいさんがどのような顔をされたのかは分かりません。ただ、おじいさんもなみなみとつがれたオレンジジュースを静かに置きました。

 おじいさん。あなたのお孫さんもブラック派なんですよ、きっと。


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クーラー

2002.08.17

直せども 直せどもなお クーラーの
 涼しからずや じっと汗かく

 などと馬鹿なパクリ短歌を詠んでいる場合ではなく。

 毎年この時期になると言っていますが、クーラーです。今年もやはり調子がよろしくありません。情況はこんな感じです。

 帰宅して、クーラーのスイッチを入れると、たまっていた熱気を吐き出すべく、クーラーはゴーッと熱風を出します。この熱風のおかげで室内の温度は2〜3度上昇しているような気がします(実際に測ったわけではないですけれど)。まぁ、これは仕方ないでしょう。次にクーラーはけなげにもガーッと冷風を出します。これで室内の温度は1度くらいは下がっているような気がします(やはり測ったわけではないですけれど)。

 本来ならこの情況が続いて欲しいわけですが、しかし僕のクーラーは、住人の期待に反して、5分と持たずにプツンと昇天されてしまいます。

だめじゃん!

 今年も電気屋さんを呼んだところ、とうとう

もしかすると寿命かも

と言われてしまいました。

やっぱりだめじゃん!

 と言うわけで、今の僕は涼しい寝場所を確保すべく、夜な夜な狭い室内を放浪しています。

 さて。

 一番涼しいのは意外なことに風呂場なのですが、さすがにユニットバス。狭いです。しかも固いです。風呂場で一晩明かすと翌日あっちこっちが痛いです。痛いだけならまだしも、あざができていることがあります。自分の寝相の悪さを棚に上げてこんなことを言うのもなんですが、やはり風呂場は寝るところではないのでしょう。

 次に涼しいのは玄関です。しかし、ここも危険が一杯です。

危険その1 洗濯機の角
 今住んでいるところは玄関に洗濯機置き場があり、独り暮らし用の洗濯機(平均週2のペースで稼働)が置いてあります。この洗濯機、一応角は丸められてはいるのですが、寝ぼけて体当たりをくらわす人がいることまでは想定されていないようです。痛いです。あざもできてしまいます。

危険その2 15センチの段差
 フローリングとはいえ、日本の家にはかわりないわけで、室内に入るときは靴を脱ぐことになっています。従って、当然のように玄関口には段差があります。もっとも段差と言っても15センチあるかないかなので、普段ならなんてことない高さなのですが、寝ているときに落ちると、結構ダメージ大きいです。

危険その3 フライパン
 僕が今住んでいるところは、家賃5万5千円。東京都内だと格安物件に分類されるのではないかと思います。その割には、エアコン完備(ただし、冷房の調子は悪し)、ユニットバスあり、室内洗濯機置き場ありなのだから、かなり掘り出し物なのではないかと自負しています。とは言え、ワンルームなので、キッチンは玄関の一角にこっそりあります。まぁ、男性の独り暮らし、こまめに自炊するわけでもないので、それはそれでいいのですが、問題はコンロの上に置きっぱなしになっているフライパンです。これ、どういうわけか落ちてくるんですね。下手すると致命傷になりかねません。密室殺人事件の死因がフライパンによる打撲なんて、ちょっと洒落になっていません。

 以上、ここ最近の僕の寝不足&時々あざを作っている理由のご報告。とりあえず寝相をなんとかしないと……


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薬屋さんにて

2002.08.25

 どうにも医者嫌い。加えて薬も苦手。「うわ〜、ガキだ、ガキが一匹いる!」と一部方面から突っ込みを受けている今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。僕は夏風邪気味です。

 さて。

 元々僕は風邪をひいて熱があると感じると、熱めのお風呂に入り、風呂のフタを閉め、即席サウナ状態の中で意識朦朧としつつ汗と一緒に熱を発散するという非常に野蛮な方法で治していました。一応注意。この方法は結構ヤバヤバなので良い子の皆さんは真似しないでください(しないって)。

 さすがに今はそんな方法で快復できるほどの基礎体力がなくなっているので、おとなしく温かいうどんを食べ、卵酒を飲んで、布団にくるまり大汗をかきつつ熱を発散させる方法で治そうと試みます。結局のところ民間療法頼りなのは、31歳、さすがにどうかと思うのですが、それはともかくとしまして。

 うどん&卵酒で風邪が治らない場合(といいますか、余計に悪化した場合)、かかりつけの医者ならぬ薬局に這いずり込み、薬を求めます。

 僕が今かかりつけにしている薬局には、お相撲さんのような薬剤師さんがおられます。この薬剤師さんは非常に優秀な方で、僕が「熱がつらいです、喉も痛いです、おなかも弱まっているかも」と症状を訴えると、「お客さん、いいヤク入ってますぜ」とニヤっと笑い、棚から薬を出してくださいます(熱のため一部妄想表現あり)。それでよがす、それくだせぇ、おいくら? 一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、ところで今なんどき? 五枚、六枚、七枚とお金を支払って薬を受け取り(熱のため一部妄想表現あり)、家に帰って服用すると、ピタッと寒気ア〜ンド腹痛が治ってしまいます。

 そんなわけで僕は31年間生きているわりには、正露丸とメンソレータムを除いて銘柄指定で薬を買ったことがありません(威張って言うようなこっちゃないね)。

 以上のような理由により、僕は薬の名前をほとんど知らない(除く正露丸とメンソレータム)わけですが、薬屋さんの棚って結構あなどれないようですぜ、ダンナ。

 以前、この東京日記で紹介したカイベールだけでなく、

それはいいんすか!?

と唸らされるネーミングのアイテムで一杯です。

その1 ガスター10、ガスピタン、ガストール
 ここまで「ガス、ガス、ガス」と連呼されると、なんか連打されているようで痛いです。個人的には、あまりにも直接的な表現の「ガストール」が一歩リード(そういう問題じゃない)。

その2 あっちQQ
 この名称で、どのような効能か一発でわかった人に幸いあれ。正解はやけど薬です。ちなみに僕は、Qと言われると、どうも「毛が三本」を連想してしまって……。

その3 スリムン
 非常に分かりやすくて好感が持てます。語尾に「ン」をつけるあたりが、お茶目でいいですな。

その4 メスメン
 「生理が来ない方にメスメン」なのだそうです。もしかすると、医学用語なのかもしれません。でも、「メスとメン」。一頃に比べれば下火になった感がありますが、フェミニン方面からのクレームを心配してしまいます。余計なお世話?

その5 ダニラー
 もちろん、これはダニやノミを殺すためのものなだと思います。多分、そうなのでしょう。でも、ひょっとして、この箱の中にはダニが一杯入っているんじゃないか。封を切ると、ダニが「いけませんです〜」とか言いながらうようよ出てくるんじゃないか。そんな想像をしてしまう「ダニラー」。けっこうイヤです。

 などと得意げに報告していたのですが、肝心の風邪薬を買ってくるのを忘れていたことに気がついたのは、およそ30分後のことでした。でも、風邪直ったかも。


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ソープ

2002.08.28

パン・パシフィック!

 子供の頃、パシャパシャと水泳をやっていたこともあって、普段はあまりこの種のイベントものをチェックすることは少ないのですが、やはり水泳となると、ついつい見てしまいます。と言っても、家に帰ってまだやっている時間だったらとりあえずテレビをつけてみるという程度なのですけれど。

 ともあれ、イアン・ソープです。

あの泳ぎ方はすごいですな!

 僕が子供の頃、100メートルや200メートルの泳ぎ方というと、

死ぬ気で泳げ! そして死ね!

みたいな感じでした(こんな表現で分かってもらえるか、自信ありませんけれど)。

 ところが、ショートレースの時のソープの泳ぎ方は、まるで800以上のロングディスタンスの300メートル付近のような感じで泳いでいるように見えます。この表現も水泳に興味のない方には、ちょっと分かりにくいですね。もうちょっと詳しく言うと、スタートダッシュである程度のポジション取りが決まり、隣のコースの選手を見ながら、ペース配分を決める段階の泳ぎ方です。簡単に言えば、一呼吸おいて力を温存している泳ぎ方と言えばいいでしょうか。

 「駆け引きよりも自分の全力を集中的に爆発できた方が勝ち!」な100メートルのレースや、(ある程度力のある選手なら)200メートルのレースで、あの泳ぎ方ができる(しかも勝ってしまう)ソープ。かなりすごいです。

 今日はソープのすごさに改めて驚いているので、特に筋も落ちもありません(もっとも、筋も落ちもないのはいつものことですけど)。


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偏食

2002.08.31

 基本的に甘いものは苦手。食べられないわけではないのですが、隣でムシャムシャと3つ以上ケーキ(もしくはおはぎでも可)を食べている人を見ると、もうそれだけで僕としては満足してしまいます。

 とは言うものの、3ヶ月に一度くらいのペースで無性に甘いものを食べたくなるときがあります。この日曜日がまさにそんな日でした。

 「今日は甘いものを食べる!」 朝からそれ以外は考えられない状態で赤羽に出かけたわけですが、意外とないものですな、甘いもの。

 いや確かに、世間には甘いものはたくさんあります。通りを歩けば必ず洋菓子屋さんとか和菓子屋さんがありますし、たいていの喫茶店でもケーキのディスプレイがあります。

 が、しかし!

 まず、生クリーム系は却下です。31年間生きてきて分かったことの一つに、

生クリームは途中で飽きる危険がある!

 イチゴのショートケーキなんか、よほど調子がいいときでないと、途中から、うわ〜、生クリームのかたまりだよ〜、勘弁してくれ〜と心の中で泣きが入ります。もうそうなると、ケーキを食べているのだか、発掘作業をしているのだか自分の中でわけが分からなくなってしまいます。それは、いろんな意味で良くないです。

 次にあんこ系も不可です。31年間生きてきて、最も憤慨していることの一つに、

お汁粉は通年OKなのに、なにゆえに雑煮は正月だけなのか!

 お餅は好物なだけに、これは僕としては切実な問題です。しかし、僕の義憤は誰からも相手してもらえず、「また意味不明なこと言ってるよ、こいつは」的な対応されるのが落ちです。これ、非常に残念です。

 あと、栗ならいいのですが、マロンになると、ちょっとパスです。さつまいももできれば避けたいです。クッキーは1枚で充分だし……等々条件付けをしていくと、どんどん選択肢が狭まり、結果的に

ガムシロップ入りのアイスコーヒーで充分満足

 てなわけで、シュークリームはご自分で責任持って食べてください。


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とみくら まさや(vzx01036@nifty.ne.jp) $ Date: 2002/08/03 $